今月の主題 食中毒,その発症をめぐって
話題
乳児ボツリヌス症の細菌学的診断とその予防
髙橋 元秀
1
Motohide TAKAHASHI
1
1国立感染症研究所細菌第二部
キーワード:
ボツリヌス菌(芽胞)
,
ボツリヌス毒素
,
経口感染
Keyword:
ボツリヌス菌(芽胞)
,
ボツリヌス毒素
,
経口感染
pp.505-511
発行日 2003年5月15日
Published Date 2003/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101181
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1.はじめに
乳児ボツリヌス症は1976年に米国で初めて確認された病気であるが,以前から同様な症状を示す病気は報告されていた.病気が確認された経緯は,日本国内の食餌性ボツリヌス症の診断事例で便中の菌と毒素の検査が有効であることが報告されたことにより,米国CDCではボツリヌスを疑う患者の便材料を検査対象として診断法に取り入れた結果,乳児で起こる新しい型のボツリヌス症として確認された.わが国では,1986年に千葉県内の乳児がハチミツを原因食品としたA型ボツリヌス菌・毒素による最初の発生報告があった.その後,各地で17事例の発生報告がある.一般的なボツリヌス食中毒は発生に際し,食品衛生法第27条により届け出・報告が求められるが,乳児ボツリヌス症は1999(平成11)年に施行された「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」により,全例把握することが必要な「四類感染症」となっている.
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