コーヒーブレイク
パニック値
寺田 秀夫
1,2
1聖路加国際病院内科
2昭和大学内科
pp.66
発行日 2003年1月15日
Published Date 2003/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101154
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昨年の夏の暑さは例年よりも烈しく,通勤途中の地下鉄や電車の中で,また緊張するような会議などで,動悸,発汗,息苦しさなどのいわゆるパニック発作を起こした人が時々緊急外来を訪れている.
さてここで述べたいパニック値すなわち臨床検査における緊急異常値は,各検査センターが速やかに依頼された側に報告すべき異常値である.このパニック値が各施設によりいろいろ異なり,その標準化の試みが進められている.
しかし各々の検査センターでの検査方法の違いによる基準値の差異などから難しい問題も多く,また依頼する医療者側の専門の違い,例えば,がんセンターと循環器病センター,また透析患者が主な腎センター,また臓器移植を専門に扱う移植センターなどでは,一般病院の求めるパニック値とは異なってくることは当然であろう.先日ヘモグロビン(Hb)が4.1g/dlであまり自覚症状もなく初めて外来を訪れた中年女性の鉄欠乏性貧血の患者,血小板数2.5×104/μlで出血症状もほとんどない特発性血小板減少性紫斑病の30歳女性など,患者1人1人で異常値と臨床症状との間に差があることが珍しくない.それは原因となる病態の違いによるのであるが.
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