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婦人科癌における血管新生とその制御
植田 政嗣
1
1大阪医科大学産婦人科学教室
キーワード:
血管新生
,
浸潤・転移
,
分子標的治療
Keyword:
血管新生
,
浸潤・転移
,
分子標的治療
pp.103-108
発行日 2003年1月15日
Published Date 2003/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101151
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1.はじめに
血管新生とは既存の血管から新しい血管が形成される組織反応であり,創傷治癒や肉芽形成に重要な役割を果たすほか,女性生殖器では卵胞発育・黄体形成や子宮内膜の増殖・分化に密接に関与している.一方,腫瘍発育において癌組織が径1~2mmを超えて増大するためには,周囲への血管新生の誘導とそれを介する酸素や栄養の補給が必須であり,また癌細胞はこの新生血管を経て他臓器へと転移していく.すなわち,腫瘍の異常増殖および浸潤・転移は血管新生に依存しており,これを惹起する種々の血管新生因子の役割が注目されている.したがって,腫瘍の血管新生機序を解明しこれを制御する方法を確立することは画期的な癌治療へと発展する可能性を秘めている.抗血管新生療法は,腫瘍の血管新生阻害により長期間にわたって腫瘍の増大・転移を抑制する“tumor dormancy therapy”を目指すものである.手術療法,化学療法,放射線療法,免疫療法からなる癌の集学的治療法がほぼ確立された現在,種々のプロテアーゼや血管新生因子を分子標的とした癌の浸潤・転移の診断とその抑制法の開発は,21世紀の画期的な対癌戦略として期待されている.本稿では,最近の国内外における血管新生阻害剤による分子標的治療の試みについて概説するとともに,新規血管新生抑制物質(F -spondin)の遺伝子治療への応用などの自験データを紹介したい.
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