特集 ナノテクノロジーとバイオセンサ
各論
Ⅰ. ナノ粒子関連
7. 量子ドット蛍光を用いた好中球顆粒内細胞質内殺菌酵素(myeloperoxidase;MPO)の検出
星野 昭芳
1,2,3
,
猪原 登志子
1,4
,
大川原 明子
1
,
武曾 恵理
5
,
山本 健二
2,3
,
鈴木 和男
1
Akiyoshi HOSHINO
1,2,3
,
Toshiko ITO-IHARA
1,4
,
Akiko ISHIDA-OKAWARA
1
,
Eri MUSOH
5
,
Kenji YAMAMOTO
2,3
,
Kazuo SUZUKI
1
1国立感染症研究所・生物活性物質部
2国立国際医療センター研究所・国際臨床研究センター
3東京医科歯科大学大学院・薬物動態学研究分野
4京都大学大学院医学系研究科・腎臓内科
5田附興風会医学研究所北野病院
キーワード:
量子ドット
,
ナノ粒子
,
MPO
,
分子イメージング
Keyword:
量子ドット
,
ナノ粒子
,
MPO
,
分子イメージング
pp.1409-1415
発行日 2006年11月30日
Published Date 2006/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100777
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はじめに
超微量の生体成分などを高感度に検出するには,提供された検体の前処理や抽出といった操作が必要であることが多く,それゆえ生体成分の検出には多大な時間を要するという問題点がある.臨床検査においては検体の多くが血液・浸出液や組織あるいは排泄物であることが多く,検出方法としては発色試薬による比色法に加え,抗原抗体反応を利用した免疫診断法がその多くを占めている.免疫診断法ではその検出は,主流となっている発色法のほか化学発光や蛍光を用いたものがあるが,後者らは検出系の煩雑さなどから適用例はいまだ少数に留まっている.現在筆者らは,食中毒やバイオテロの原因となる細菌由来毒素など生物由来の人体に有害な物質について,蛍光ナノ粒子の放つ高輝度な蛍光を用いて高感度かつ迅速に検出するシステムの開発に向け研究をしている.また同時に,従来の病理組織学検査や細胞診においては,その操作の煩雑さや標本の保存性の悪さなどから敬遠されている蛍光抗体を用いた免疫組織化学染色に対して蛍光ナノ粒子を適応する研究を行っている.本稿では上述の研究のうち,蛍光ナノ粒子標識抗体を用いた免疫組織化学染色の臨床検査への応用について,ANCA(antineutrophil cytoplasmic antibody,抗好中球細胞質抗体)関連急性糸球体腎炎患者を対象とした好中球顆粒内酵素(myeloperoxidase;MPO)の検出を例に挙げて述べる.
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