学会だより 第95回日本病理学会総会
新企画により示唆された将来展望
小松 明男
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1社会福祉法人慈生会 慈生会病院病理診断科
pp.940
発行日 2006年8月15日
Published Date 2006/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100697
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第95回日本病理学会総会は,交通至便な新宿京王プラザホテルで開催された.他会場への移動は主として40数階を上下するエレベーターを使用し,高層ビルからの景色を楽しめた.非常に多くの演題により盛況な印象を受けた.ゴールデン・ウィークということもあり,ワークショップや公開シンポジウムに多数の参加者があり,活況を呈していた.また招待口演・特別口演も数多く,かつ充実したものであった.学会の幅広い内容を敢えて大別するならば,正統・重厚・オーソドックスな研究と新しい試みがみられ,いずれも目を見張るものばかりであった.今回特筆すべき新企画は,学生ポスター発表およびコンパニオンミーティングであろう.筆者が直接関与したものは,当然ではあるが限られ,学生ポスター発表はそのうちの1つであり,今学会の大きな特徴であるので,読者に広くお伝えしたい.以下この企画について記載する.
学生ポスター発表の目的は,若人が魅力を感じる新しい教育・研究の機会設定にあった.すなわち,近年問題視されている高齢化は一般社会問題あるいは労働人口においてのみならず,病理学会においても1つの重大な問題である.長期間高齢化が続けば,活力が失われ次第に衰退する恐れがある.そこでこれを打破し,若人を惹きつけるという観点からの企画であった.したがって今回の学生ポスター発表の成否は,ある意味では病理学の将来を占ううえでの試金石にもなりうるものであった.
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