今月の主題 皮膚科と臨床検査
話題
ダーモスコープによる検査
名嘉眞 武国
1
,
前山 泰彦
1
,
夏秋 洋平
1
,
橋本 隆
1
Takekuni NAKAMA
1
,
Yasuhiko MAEYAMA
1
,
Yohei NATSUAKI
1
,
Takashi HASHIMOTO
1
1久留米大学医学部皮膚科学教室
キーワード:
ダーモスコープ
,
色素性病変
,
色素性母斑
,
悪性黒色腫
Keyword:
ダーモスコープ
,
色素性病変
,
色素性母斑
,
悪性黒色腫
pp.907-911
発行日 2006年8月15日
Published Date 2006/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100690
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
1.はじめに
近年,皮膚科領域において皮膚の色素性病変に対してダーモスコープによる診断法が注目されると同時に,多くの施設において普及してきている.その特徴から,表皮真皮境界部から真皮上層までの色素性病変や血管腫,出血性病変に大いに力を発揮する.
日本人の場合,ほくろの癌と呼称されている悪性黒色腫の30~40%が足底・手掌にみられる.この悪性黒色腫は進行すると予後が悪いことは周知の通りであるが,進行度を表す病期分類の旧分類(2002年に新分類へ改訂)において,初期および早期のStage Iであれば5年生存率はほぼ100%である1).本腫瘍は進行してくると周囲に拡大し隆起してくるため,その臨床像から肉眼的に診断は容易だが,やはり初期の段階で診断することが予後の面において重要となる.そのため足底,手掌の小さくて盛り上がりのない色素性病変をみた際,良性のほくろとされる色素性母斑であるか,または悪性黒色腫の初期であるかどうかを判断することが重要で,これらの鑑別にこのダーモスコープによる検査法が大変有効であることが数多く報告されている2~5).
本稿においては,ダーモスコープの検査方法と原理,有効な対象疾患およびそれらの具体的な所見について解説する.
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.