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1.はじめに
皮膚は,ヒトの体重の約16%を占め,表皮と真皮の二層構造からなる人体最大の臓器である.外界からの病原体,異物に対する最前線の防衛ラインであり,最外層の角層から真皮に至るまでの1つの防御組織を形成している.ここではリンパ球,好中球など様々な免疫担当細胞が活躍し,極めて強大で複雑な免疫臓器としての働きがあるが,その仕組みについてはまだ十分には解明されていない.
皮膚科領域の疾患のなかでも,アレルギーや自己免疫疾患,感染症をはじめとする炎症性皮膚疾患はいずれも免疫担当細胞がその病像形成に深くかかわっている.これらの機能的役割やその異常を解明することが皮膚疾患の病態把握,治療のため常に求められている.
臨床の場で行われている皮膚疾患のリンパ球や樹状細胞の機能検査としては,接触アレルギーに対するパッチテストや,ツベルクリン反応,トリコフィチン反応,スポロトリキン反応などに代表される皮内テスト,薬疹の原因薬剤特定のための薬剤誘発性リンパ球幼若化試験(drug-induced lymphocyte transformation test;DLST)などがある.いずれも患者のリンパ球や樹状細胞が担う免疫反応を再現するもので,診断や治療に有用な検査である.これらの検査については別稿で詳しく解説されているので参考にされたい.本稿ではリンパ球と樹状細胞のなかでも比較的新しい話題である形質細胞様樹状細胞(plasmacytoid dendritic cell)と制御性T細胞(regulatory T cell)について,フローサイトメトリーを用いた検査と皮膚疾患での機能,役割についての新しい知見を概説する.
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