今月の主題 皮膚科と臨床検査
話題
センチネルリンパ節生検
師井 洋一
1
Yoichi MOROI
1
1九州大学大学院医学研究院 皮膚科学分野
キーワード:
センチネルリンパ節
,
皮膚悪性腫瘍
,
組織学的診断
Keyword:
センチネルリンパ節
,
皮膚悪性腫瘍
,
組織学的診断
pp.912-915
発行日 2006年8月15日
Published Date 2006/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100691
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
1.悪性黒色腫におけるセンチネルリンパ節生検
ここ10数年間における腫瘍免疫学の進歩により,様々な治療法が提案され実践されてきたが,悪性黒色腫はいまだ予後不良の悪性新生物である.その予後不良因子として挙げられるのが再発・転移率の高さであり,その転移率に大きく影響しているのが,リンパ節郭清の是非であると考えられる.これまで比較的浸潤の浅い悪性黒色腫で所属リンパ節の腫大が臨床的に認められない場合,リンパ節郭清の施行にははっきりとした基準がなく,担当医の判断に任されてきた.一方,原発巣から所属リンパ節へ向かうリンパ流は,必ず1個から数個までのリンパ節(センチネルリンパ節)に到達し,その後他のリンパ節(所属リンパ節内)に流れていくというセンチネルリンパ節の考えが明らかとなった(図1)1).
近年,このセンチネルリンパ節の概念が広く支持されるにいたって,早期悪性黒色腫の治療は,原発巣の拡大切除とともにセンチネルリンパ節を生検し,そのリンパ節に転移が認められた場合にのみ,リンパ節郭清を行うことがわが国でも一般的になった.しかしながら,センチネルリンパ節内に転移があるかどうかは,同リンパ節の多数の連続切片を作製し,通常のHE染色に加えて様々な免疫染色を施行しなければ微小転移を発見することは困難である.
![](/cover/first?img=mf.1542100691.png)
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.