今月の主題 健康食品と臨床検査
巻頭言
健康食品をめぐる問題点
長村 洋一
1,2
Yoichi NAGAMURA
1,2
1千葉科学大学危機管理学部
2健康食品管理士認定協会
pp.607-608
発行日 2006年6月15日
Published Date 2006/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100642
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健康食品の総売り上げは平成17年度において2兆円を越え,一般大衆薬の約3倍となっている.2010年にはこの総額が3兆円を越えると経済界は予測をしている.そのため,非常に多くの人たちがこの分野にタッチし始めている.それに伴って大きな問題も発生し始めている.これら問題の最も大きな根源は,健康食品は医薬品ではないという明確な定義が1971年に既に出されていながら,医薬品のような側面を有して扱われているところにある.実際,その医薬品的な側面を強調するために健康食品に医薬品が添加されていてそれを知らずに摂取して死んでしまった人も出ている.また,一方では副作用のない医薬品というような考え方で健康食品に頼り,正規の治療を医療機関で受ければ助かったかもしれない命を落としている人もいる.このように悲惨なケースに至らないまでを考慮に入れれば,健康食品による健康被害は数え上げれば限りがない.
このような現状において,医療機関における臨床検査の立場から健康食品をどう捕らえたらよいかという企画が持ちかけられた.ここ数年,臨床検査技師をNSTの分野に入れるのか入れないのかといった議論なども含めて,食品と臨床検査関連の問題が大きく膨らんできているので,この分野に一度メスを入れた.
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