特集 大災害に対するリスクマネジメント
わが国の災害医療体制の現状と今後の展望—病院レベルの防災対策のあり方に関する考察を中心に
山本 光昭
1
1厚生省健康政策局指導課
pp.839-841
発行日 1995年9月1日
Published Date 1995/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903824
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
大規模災害に対する医療整備の取組み
医療体制の整備
災害時における医療の確保は災害対策の大きな柱の1つであるが,わが国の災害対策は昭和36年制定の「災害対策基本法」1)に基づき推進されている.同法は,国,地方公共団体およびその他の公共機関を通じて必要な体制を確立し,防災計画の策定,災害予防,災害応急対策,災害復旧および防災に関する財政金融措置その他必要な災害対策の基本を定めている.特に,医療の確保については,同法に基づいて策定されている厚生省防災業務計画,各地方公共団体毎の地域防災計画の医療救護計画等によって,その体制整備が進められてきた.一方,昭和22年に制定された「災害救助法」2)は,国が地方公共団体,日本赤十字社その他の団体および国民の協力の下に,応急的に,必要な救助を行うことを定めている.同法では,一定程度の規模以上の災害が発生した場合に,災害のため救助を必要とする者に対して,都道府県知事が救助を行うこととなっており,医療機関は地域の被災者の医療救護活動や収容等について積極的に対応する責務を負うことになっている.さらに,救助の万全を期するため,常に,必要な計画の樹立,強力な救助組織の確立ならびに施設,設備等の整備に努めることとなっている.
Copyright © 1995, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.