報告 公衆衛生学教育のあり方に関する一考察・3
米国の現状と今後の展望を中心に
山本 光昭
1,2
,
山本 尚子
3
,
青山 英康
4
Mitsuaki YAMAMOTO
1,2
,
Naoko YAMAMOTO
3
,
Hideyasu AOYAMA
4
1広島県福祉保健部健康対策課
2前厚生省大臣官房厚生科学課
3厚生省保健医療局疾病対策課結核・感染症対策室
4岡山大学医学部衛生学
pp.727-730
発行日 1992年10月15日
Published Date 1992/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900673
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6.米国における問題点と将来に向けた提言
すでに紹介してきたように,米国では公衆衛生学部を中心に公衆衛生専門家の養成・教育プログラムは数多く提供され,さらにその質を評価,維持する制度も確立している.この背景には,専門家指向が強く,資格を取ることが昇進や給与の改善のための必要条件であることが多いという米国社会の特徴があると思うが,この制度の中から世界をリードする疫学研究や国内外における公衆衛生プログラムを実践する優秀な専門家が多く生まれていること,今日なお日本を含む各国の公衆衛生を志す人々がこの教育プログラムの中で学ぶために米国に集まっていることも事実である.
しかし,現在米国が抱える健康問題を見ると,エイズ感染の拡大,薬物中毒,十代の妊娠,少数民族の健康問題,医療保険に加入できない人々の増加から高齢者問題まで,困難かつ複雑な問題が多い.そのため,米国の公衆衛生の現状と問題点,さらに今後進むべき方向についての検討も多数行われている.その中でも代表的なレポートが,本稿の第2章でも触れた,「The Future ofPublic Health」である.
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