特集 外来のあり方を問う—大病院志向の流れは変えられるか
病診の連携を阻むもの—若手開業医の立場から
新田 國夫
1
1新田クリニック
pp.309-312
発行日 1993年4月1日
Published Date 1993/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903805
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なぜ大病院志向か
医療は重度になればなるほど大病院集約型になるのが普通である.一般的には診療所から中小病院,大病院への患者の流れがある.患者の志向も同様にこのように向かう.
一方,病院の構造的経常赤字が続いている.このような状況下では病院は自院に集まってきた患者の流れを一方的に維持しようとして,拡散したがらない経済原則が働く.原則は国公立病院においても同様である.しかもその多くは慢性的赤字に苦しんでおり,それゆえに経済原則が優先し,医療現場の従事者(医師,看護婦等)もその原則に従わざるを得なくなっている.その結果,国公立病院は地域住民の健康,医療に対して果たすべき役割を半ば放棄してしまっているようにみえる.民間病院においてはこの原則がさらに誇張され,病院が一体となって患者の集約維持を図ろうとする.
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