病院管理フォーラム 看護管理=病院のDON・8
医療事故と患者安全
小山 秀夫
1
1国立医療・病院管理研究所医療経済研究部
pp.720-721
発行日 2001年8月1日
Published Date 2001/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903347
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⦿病院医療事故死亡者
今,病院界で医療事故への関心が高まっている.度重なる医療事故,連日のように報道される医療に対する不信は,大きな社会問題に発展している.病院内の医療事故の多くに看護職が関与し「看護婦,受け渡しミス」,「必要な薬品の入れ忘れ単純ミス」,「人工呼吸器のスイッチ入れ忘れミス」,「誤注・誤薬」などといわれると,人ごととは思えないし,とても辛い.医療事故を個人の責任ととらえ糾弾することは,再発を防止するためのシステムを院内に確立することに比べ,たやすい.しかし,この問題は,必ずしも専門家でない筆者でも,なんとかできないものかと深く考えている.なんの役にも立たないかもしれないが,多くの看護部長に「かばうな,かくすな,おびえるな」と話している.
病院の医療事故は千差万別ではあるが,明らかに病院が事故をかくそうとしたり,職員同士でかばい合うということが事後に発覚すると,最悪の事態を招く.実際に,医療事故の発覚した病院の関係者の話を聴くと「かばおう,かくそうという心理が働く」という.事故後の病院は,緊張が極度に達し「看護職がおびえて,単純ミスが起こりやすくなる」ともいう.医療事故は万人に不幸だ.
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