特集 人材開発と管理職研修
エンプロイヤビリティの形成・向上を支援—従業員自律・企業支援型の人材育成
岩松 かほる
1
1日本経営者団体連盟教育研修部
pp.678-681
発行日 2001年8月1日
Published Date 2001/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903337
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日本型のエンプロイヤビリティ
長期継続雇用,年功賃金制,新卒一括採用といった日本的雇用慣行が見直しを迫られる中で,働く人たちの「エンプロイヤビリティ」,すなわち企業に雇用され得る能力・市場価値のある職業能力が強く問われている.日本経営者団体連盟(以下,日経連)では平成10年7月に教育特別委員会の下部委員会として「エンプロイヤビリティ検討委員会」を設置し,市場価値の創造という観点も踏まえた企業における人材育成・能力開発のあり方について検討を開始した.そして,翌,平成11年4月「エンプロイヤビリティの確立をめざして—従業員自律・企業支援型の人材育成を—」と題する報告書に取りまとめ発表した.
「エンプロイヤビリティ」という言葉は,倒産やリストラで職を失った人たちが再就職しやすいように身につけておくべき能力や資格,いわゆる「転職を可能にするための職業能力」といった意味合いで使われることが多かった.しかし,日経連が提唱する「日本型エンプロイヤビリティ」は,「他社への転職を可能にする職業能力」という狭い範囲にとどめず,「現在働く企業の中で発揮され,かつ継続的に雇用されることを可能にする能力」という積極的な視点を加えた幅広い意味合いの「雇用され得る能力」としてとらえている.そして,その根底には人間尊重の経営理念がなくてはならないというのが基本的な考え方である.
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