連載 「ケア」の関係性が変わる・3
特別養護老人ホームにおける福祉と医療を取り巻く現状と課題
西口 守
1
1国際医療福祉大学
pp.275-278
発行日 2001年3月1日
Published Date 2001/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903235
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
社会福祉施設は日本国憲法制定以来,措置をその制度的基盤にして運営してきた.この措置制度について,簡単に説明をしておきたい.
措置制度というのは,日本国憲法25条に基づき,国民の生存権を保障するものであると考えられてきた.このことを特別養護老人ホーム(以下,特養)に入所するということで考えてみたい.介護保険が始まる前まで,特養への入所に関して原則として,利用希望者と当該施設との直接的な契約関係は発生しなかった.つまり,利用希望者は,直接に当該施設に対して申し込みの意志表示を行うことはできず,また当該施設も直接に利用者に対して入所の受諾または不受諾を伝えることはできなかった.利用希望者はまず,住民登録を行っている市町村に対して,特養へ入所申し込みを行い,市町村は老人福祉法第11条の特別養護老人ホームの入所要件に適格しているかどうかを調査し,その結果適格性を確保されていると判断した場合には,利用希望者の入所依頼を当該施設に行い,施設が状況を判断し入所を受諾するというシステムになっていた.少々回りくどく書いたが,まさにこの措置制度はある意味「回りくどく」,「複雑」なシステムである.
Copyright © 2001, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.