連載 「ケア」の関係性が変わる・2
ケアのマーケティングを考える その2
島津 望
1
1国際医療福祉大学
pp.147-151
発行日 2001年2月1日
Published Date 2001/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903199
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
前回は,これまでの医療福祉の提供者と患者や利用者の関係がどのように変化するのかという点について,マーケティングの視点から考えてみた.マーケティングの視点から見るということは,患者や利用者を取り引き(transaction)の相手として見るということである.取り引きの相手として見るということは,相手のことを自分の意のままにならないものとして見ることである.そうした相手に対して働きかけ,自分の提供するものを相手に受け入れてもらう諸活動がマーケティングである.今後の医療福祉サービスの提供には,マーケティングの視点が必要である,ことを前回では主張した.今回は,必要とされるマーケティングの課題について具体的に考えてみよう.
マーケティングとは,広告宣伝や営業活動のことだととらえる医療関係者もいるかもしれないが,それらはマーケティング活動のほんの一部にすぎない.マーケティングを行うということは,消費者に対して何を提供するのかという製品・サービス作りに関して,それを消費者の視点から徹底的に考えることが根本にある.宣伝や営業活動はそうして作られた製品・サービスを,消費者に伝えるための活動であって,マーケティングのすべてではない.マーケティングの基本は,いかにして消費者に満足を与える製品・サービスを新しく作り出すかということである.
Copyright © 2001, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.