病院管理フォーラム リスクマネジメントの実践・8
八尾病院のリスクマネジメントの取り組み(3)—院内のシステムづくりとインフラの整備・2
森 功
1
1医療法人医真会
pp.240-242
発行日 2000年3月1日
Published Date 2000/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541902948
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
危機管理の三つのステップ
1)体質改善
危機管理のステップとしては三つの段階が考えられる.ファーストステップは体質改善期である.体質改善は,職員の意識改革であって,現実にわれわれが医事紛争の嵐の中にあり,なおかつ医療事故多発の海の中で医療を行っているという現状を認識し,それを改善しない限りは自分たちが理念として謳っている「人間愛に基づいて最大の努力で最良の医療を行う」ことが不可能であることを皆で確認しあうことである.従来,チーム医療を実践することは困難であったが,幸いなことに若い世代には職種間のわだかまりが少なく,比較的容易になってきている.
当院では,職員更衣室の前室として広いラウンジを設けている.この場で日常的な団欒が行われ,金曜日の夕方には「サンダウナー」という居酒屋が開かれる.その場で医師をはじめ多職種の職員が理事者も交えて飲み,かつ語り合う姿が見られる.前述の多職種が参加する横断的な委員会活動(感染防止,教育,地域交流,薬事,倫理など)とあいまってチーム意識形成に役立っている.さらに大切なことは,医師の診療責任と看護の療養責任の存在を組織全体で認識することである.医師は個々の診療工程を図1のようなステップで設計管理しその責任を負う.
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.