- 有料閲覧
- 文献概要
八尾市は大阪平野の東部に位置し南端を大和川が流れ,東部には生駒山系が連なる人口27万人の都市です。筆者が八尾に赴任することになったときに真っ先に思い浮かべたことは「八尾の朝吉」です。八尾市出身の今東光の原作で昭和36年から昭和49年まで16作品がつくられた大映映画の「悪名」シリーズで,勝新太郎が演じた任侠精神に生き抜く一匹狼のやくざの親分「八尾の朝吉」のことです。舞台になった当時の八尾は都市郊外の農村でしたが,今の八尾はほとんどが住宅街になっています。映画により八尾は河内弁のガラの悪さで有名になってしまいましたが,今では純粋な河内弁を耳にすることはあまりありません。しかし,他病院から異動になった先生のなかにはカルチャーショックを受ける先生もおられます。また,八尾は「おわら節」「阿波踊り」などとともに有名な盆踊り音頭である「河内音頭」の本場です。毎年8月には八尾河内音頭祭りが開かれ,河内音頭を楽しむ一大イベント(別名“ヤオのカーニバル”)になっており,八尾市立病院からも多数参加しています。
八尾市立病院は昭和25年に5診療科,32床の病院として開設され,科の増設と増床が行われ地域の中核病院として機能してきました。度重なる造築と建物の老朽化のため平成16年5月に同市竜華町に新築移転し,現在は16科,380床で運営されています。常勤医師は65名で,1日の外来患者数は約800人です。平成15年4月より臨床研修病院に指定され,現在13名の研修医が勤務しています。平成16年8月に病院機能評価の認定を受けています。新病院に移転時に,従来の紙カルテからオーダリングシステムを経ずに,いきなり電子カルテを導入するという本邦初の無謀なことを行い,職員一同どうなることかと不安におののいていましたが,案外とすんなりと受け入れられ,約2年を経て大きなトラブルもなく電子カルテシステムは機能しています。また,公的病院としては全国で初めてPFI方式(公共サービスが民間企業によって経営され,地方自治体などの公共機関が料金を支払い維持する仕組み)での管理,運営方式を導入しているユニークな病院です。
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.