Japanese
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特集 臨床研究・大規模研究の進め方
行政的観点からのインフラ整備
Infrastructure of the Clinical Trials in Japan:The policy issues
川上 浩司
1
Koji Kawakami
1
1京都大学大学院医学研究科薬剤疫学分野
1Department of Pharmacoepidemiology, Graduate School of Medicine and Public Health, Kyoto University
pp.255-260
発行日 2007年3月15日
Published Date 2007/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100513
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臨床研究の促進のためのインフラ整備
わが国で臨床研究を進行するためには,臨床研究に関する倫理指針(平成15年7月30日厚生労働省通知)などのガイドラインを遵守していく必要がある.そのようなガイドラインを遵守することは当然かつ必要十分条件として多くの臨床医や研究者が制度を受け入れているようである.しかしながら,日本においては,そもそも臨床研究の定義が欧米諸国とは異なって用いられているという側面があるようである.つまり,医療現場における疫学研究,既承認薬を用いた併用療法の確立,医療の質の研究(臨床疫学)といった臨床研究のみならず,いわゆる未承認薬や未承認のバイオロジクス(生物製剤)などを用いた臨床試験も「臨床研究」という名のもとに行われているという事実がある.
日本においては,医師への卒後教育や医学部における卒前教育において臨床研究の方法論や疫学,統計,医薬品の情報や適正使用,開発などについて系統的に学ぶシステムはほとんど構築されていない.特に臨床経験を何年か有した医師に対して,このような機会を提供するようなシステムは重要である.2000年には京都大学において日本で最初のSchool of Public Health(SPH)が大学院医学研究科・社会健康医学系専攻として設立され,旧来からの公衆衛生学のみならず,臨床医を支援・教育する部門,医師以外の医療従事者に高度な教育を行う専門職大学院がスタートした(表1).今後,わが国の医療や医学の実情に合わせたSPHの充実と,日本国内のいくつかの拠点におけるSPH設置と展開が期待される.
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