特集 岐路に立つ中小病院
中小病院の将来像—求められる理念の再確認と厳密な経営管理
徳田 禎久
1
1禎心会病院
pp.402-407
発行日 1999年5月1日
Published Date 1999/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541902689
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1998年の診療報酬改定の際の患者自己負担増による受診抑制をベースとして医療費は,伸びの停滞ないし減少から,最新のデータでは増加へと転じ,厚生省は結局医療費の伸びを抑制しきれなかったと判断している.1997年の国会決議を楯に,医療制度改革についての「医療審議会」,「医療保険福祉審議会」における審議はわれわれの予想を明らかに超えるスピードでなされているが,日本医師会をはじめとした医療提供側の代表の必死の抵抗にもかかわらず,与党医療制度改革協議会の基本構想を引き継ぐ形での診療報酬体系抜本改革のたたき台が示され,病床数削減を意図した入院医療の適正化の議論とも合わせ,残念ながら医療制度改革は厚生省のペースで着々と進んでいると総括せざるを得ない.
1998年9月,筆者が所属する全日本病院協会(以下,全日病)の「中小病院のあり方に関するプロジェクト委員会」が報告書の中で急性期・慢性期病院の要件や診療報酬支払制度のあり方を提示したが(表1,2),その後出された「医療審議会」,「医療保険福祉審議会」の報告書(図1,表3)と大変相関が高いので,これらをまとめて中小病院の将来像を論じてみたい.ここ数年間の厚生省による医療にかかわる種々の改革は,その善し悪しにかかわらず,この方針に従って行動した病院に有利に展開したことは事実である.
Copyright © 1999, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.