特別寄稿
輸血医療体制の見直しと変革への提言
髙橋 孝喜
1
1虎の門病院輸血部
pp.244-248
発行日 1999年3月1日
Published Date 1999/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541902650
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製造物責任法(PL法)の施行1),「薬害」AIDS問題の解明,輸血後移植片対宿主病(輸血後GVHD)に関する緊急通達2)やwindow period(感染後検査陰性期)の献血者血液からのHIVまたは肝炎ウイルスの伝播感染に関する報道など,輸血の安全性について社会的関心が集まっている.スクリーニング検査の進歩などにより,感染症ウイルス伝播の危険は従来より小さくなっているが,血液すべての国内自給は実現していない.すなわち,アルブミンなどの使用適正化が進まず,今日なお血漿分画製剤の多くを輸入に頼っている状況である.
一般に注目されているのは輸血副作用だが,輸血自体は極めて有効性が高く,広く行われている補助療法である.実際,白血病などの多剤併用療法,大量の出血を伴う手術など,輸血なしでは有効な治療がなし得ない病態は多い.
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