主張
損益計算書か貸借対照表か?
U
pp.209
発行日 1999年3月1日
Published Date 1999/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541902639
- 有料閲覧
- 文献概要
この数年の一部上場企業の経営破綻は,わが国経済に大きな波紋を投げかけている.バブル経済崩壊に伴う経営処理の対策の遅れが主な原因であるが,現在のわが国不況下において種々の経営上の問題を示唆している.病院の経営においても同様である.健康保険制度の成立以来順調に右肩上がりしてきた病院経営は,1998年度は医療保険制度の改革により病院収入は横這いまたは減少となり,多くの医療機関が赤字決算に陥ると思われる.一般企業と同様病院経営の緊急かつ大胆な経営の見直しが必要である.
さて,厚生省は1994年病院経営の悪化に伴い「医療施設経営改善支援事業」を創設し,医師会,病院協会に委託して医業経営の研修会や経営相談事業に対して補助金を交付してきた.一定の成果を上げたとのことでこの支援事業は廃止され,1999年度からは「医療施設経営安定化推進事業」が開始される.この事業は,医療機関の資金調達方法や収益業務の導入に伴う調査研究を行う事業とのことであるが,急激な医療機関の経営破綻が予想される現在,この事業に速効性があるのか疑問である.
Copyright © 1999, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.