特集 新時代の病院組織
病院組織の新たな潮流—変革に耐え得る組織の強化を目指して
大道 久
1
1日本大学医学部医療管理学教室
pp.18-22
発行日 1998年1月1日
Published Date 1998/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541902301
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変わる病院と組織体制
変革の時代を迎えて,病院の組織も変わらざるを得ない.しかしその変化は既に進行しており,これまでにいくつかの流れを形作っている.この十年余で,何よりも病院そのものの医療におけるとらえ直しが進んだ.すなわち,自己完結的な閉じられた組織体制で機能を全うする方向から,連携の概念のもとで外部組織との関係を持ちながら,自らの役割を明確にした対応を迫られるようになってきた.これは,医療の場が一病院組織の管理の範囲から,地域的な広がりを持ち始めたことを意味しており,制度的には医療計画の導入による病床規制や,施設機能の体系化の考え方に基づいた特定機能病院と療養型病床群の創設などの経緯を経て今日に至っている.
病院はこのような流れに対応するために,連携を調整する部門を持つ必要がある.紹介外来型病院や共同利用型病院に「医療連携室」のような名称の部署ができ始め,その後に導入された特定機能病院においては,紹介率の確保を図るうえでもこの部門の設置は一般的となった.これから創設されることが見込まれている地域医療支援病院は,もっぱら紹介患者を受け入れ,また設備・機器を共同利用に供する,まさに連携の概念をそのまま具現化しようとする病院であり,それが次の時代の病院の姿であるとするならば,連携調整を図る部門は病院の重要な組織の要素となる.
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