主張
21世紀まであと5年,医療分野の変革が急務
S
pp.337
発行日 1995年4月1日
Published Date 1995/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901484
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平成7年度が始まる.暦の上で平成7年は阪神・淡路大震災という歴史に残る激甚災害で幕を開けてしまったような感があるが,被災地における救援と復興活動の中で医療の果たす役割の重要性は極めて高く認識されたことは何人も疑う余地のないところである.非常時の緊急的な対応の後,継続した支援を確保し,更には関係諸制度の速やかで柔軟な適用,そして医療自体の復興に関してはその社会公共性に鑑み優先的に社会資源が投入されるべきである.この度の経験を踏まえ次の災害に備えてあらゆるシステムの見直しと,訓練の実施を行っておくことも当然であろう.
さて,今年度は高齢者保健福祉推進10か年戦略の後半の5年間の開始年度であり,また,病院機能評価の活動が新機構設立のもとに具体化する予定である.これらのことは医療制度上まことに大切なことであるが,さて,医療供給側にその議論への参加のための理論構築と合意,そして現場での対応の準備が出来ているであろうか.答えは残念ながら“否”である.大変独断的な意見で恐縮ではあるが敢えて言わせていただくならば,医療側の対応は既得権の擁護と診療報酬の点数改定のみに集約されていると考えられる.それでは何故そのようになってしまったのか.おそらく種々の制度のもとで保護されてきた現実を,自分達は規制を受けているという被害者意識からしか評価出来ない体質によるものであろう.
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