MSWの相談窓口から
県境ソーシャルワーカーを20年
佐藤 和子
1
1海南病院相談室
pp.1057
発行日 1994年11月1日
Published Date 1994/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901381
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キーワードは住所と年齢
ほとんど毎日といっていいほど,高齢者の退院についての相談に応じている.入院時に全員面接ができないかわりに,入院案内にアンケート様式のチェック表を折り込んでいる.回収された中で少しでも不安を感じている人に対して,早期のベッドサイド面接を行う.項目は4項目,「医療費」「保険制度」「家族の生活」「退院後」である.「退院後について」不安・心配という項目にチェックをつける患者・家族が増えている.病院での入院期間に限りがあるという情報が行き届いているせいか,早くから心配だと相談にくる人もいる.いずれにせよ,設備の整った病院から何も準備していない家庭へ移る時は,患者と家族も支援する我々ソーシャルワーカーもかなりのエネルギーを必要とする.
私の勤務する病院は県境に位置する.木曽川をはさんで三重県,岐阜県の市町村がある.東方面に十数キロ行くと名古屋市.病院は海部郡という小さな11の町村の中の1つにある.当然,福祉サービスの内容が,県ごとに異なっている.相談室を訪れる人たちにまず尋ねるのは,名前ではなく住所と年齢である.この2つのキーワードがないと情報が出てこない.
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