主張
病院経営と消費税
Y
pp.887
発行日 1994年10月1日
Published Date 1994/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901338
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平成元年より導入された消費税は導入前の激しかった反対運動を思い出すのが難しいくらい,国民生活に定着した感がある.医療・福祉および教育の三分野は,社会政策的配慮の下に非課税扱いとなったが,導入後6年経過した現在,医療の分野,特に病院経営の根幹を揺るがす問題となってきている.その最大の原因は,病院の消費税額の算定方式が他の業種と大きく異なるためである.一般業種では,受入消費税より控除消費税額を差し引いた額を納付消費税として納付すればよく,実質的な税負担は最終消費者が行う.
一方,病院の場合は,仮に病院の収入が全て課税対象である自由診療であれば,一般業種と同様に,自由診療の対象患者より受け入れた消費税から控除消費税額を差し引いた額を納付すればよく,なんら問題は生じない.ところが,我が国ではほとんどの病院が保険診療を主たる収入源として経営されているにもかかわらず,この保険診療に対しては消費税は課税されない.つまり,保険診療であれば患者さんは消費税を支払う必要がないのである.
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