特集 病院と日本復興
日本の財政健全化と消費税
田近 栄治
1
1一橋大学国際・公共政策大学院
キーワード:
財政健全化
,
消費税
,
一体改革
,
公費負担
,
非課税品目
Keyword:
財政健全化
,
消費税
,
一体改革
,
公費負担
,
非課税品目
pp.24-27
発行日 2012年1月1日
Published Date 2012/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102174
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■経済と財政の現状
ギリシャから端を発した国の債務リスクは国境を越え,アイルランド,ポルトガル,スペインと広がり,イタリアの10年国債の金利が7%近くにもなるなど,赤字財政のつけの厳しさを目の当たりにすることになった.累積した債務の原因が,社会保障のせいであろうと,バブルで負債の拡大した銀行への資金注入の結果であろうと,放漫とみなされた財政への市場の規律は容赦がない.そうしたなか,国は歳出の切り詰めと増税を迫られる.
歳出の多くが社会保障給付に充てられているため,どの国も歳出カットの筆頭は年金給付額の切り下げであり,それに医療の個人負担の増大が加わり,歳入サイドでは消費税(付加価値税)や個人所得税の増税がなされる.そうした緊縮財政に反対するアテネやマドリードやローマなどでのストライキを見ていて,怒りのこぶしをどこに向けるのだろうかという,複雑な思いを持ったのは筆者だけではなかったであろう.歳入の裏付けのないままに,歳出を拡大した責任は,政治家だけでなく,そうした政治家を選出した国民にもあるからである.
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