レポート
病院消費税の実態と問題点
池澤 康郎
1,2
1社団法人日本病院会
2医療経済・税制委員会
pp.413-417
発行日 2000年5月1日
Published Date 2000/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541902995
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ゼロ・サム・ゲームなのか
日本病院会の医療経済・税制委員会は,消費税率3%だった平成6年度において,当時の2,477会員病院が納めた消費税についてアンケート調査を施行した.このうち570病院(23%)から有効回答が寄せられた.その結果は表1のとおりである.
平成元年4月からの3%消費税制発足に当たり,厚生省は非課税診療行為の報酬に0.76%を上乗せしたと説明した.この比率はその後の診療報酬改定の中で不変であるともいわれた.とすれば,表1に示された570病院(その非課税医業収益2兆5,955億9,800万円余で,国民医療費の1割強)が非課税医業収益の中で上乗せ分として受け取った収益分は195億7千万円余だったはずだが,570病院はこれだけでは足りず,実際には414億2,900万円余を納めた.これは1.6%に当たる.われわれはこの結果が全病院の趨勢を反映していると推測し,病院は平均して 1.6-0.76=0.84%の損税となっている旨を厚生省と自民党その他の政党に説明して,0.76%が適正でないと抗議してきた.
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