特別企画 「高齢者保健福祉推進10か年戦略」にどう対応するか・2
老人病院とゴールドプラン/医療経済から見たゴールドプラン
漆原 彰
1,2
Akira URUSIBARA
1,2
1社会福祉法人欣彰会
2大宮共立病院
pp.585-592
発行日 1990年7月1日
Published Date 1990/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900684
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世界一の高齢国になる10年先を見据えたこの「戦略」について語ることはなかなか難しいことである.この「戦略」は高齢者の保健と福祉の領域で,公共サービスの基盤整備を図ることを目標に掲げたもので,その根底には保健および福祉の各施策の実施主体を国,県レベルから市町村に下ろして,それぞれの地域の特殊性を踏まえ現実に即して進めていこうという考え方がある.それぞれの地域の特性を生かした在宅福祉,施設福祉,地域福祉などの事業について官民をあげて強力に推進しようとするものであるが,全体的なトーンは「在宅」であり,それぞれの地域で在宅福祉支援のためのネットワークをどう構築するのかが強調されている.これはヨーロッパ諸国など先進高齢国で進められてきた福祉施設への収容中心の失敗を他山の石ともしている.さらに今年度中に予定されている医療法の改定および老人保健法の見直しにおいて,医療機関の機能がどう見直されるかということと大いに関連していると思われる.
では,この「戦略」に医療機関がどのようにアプローチし,関与できるかを考えてみたい.当然のことながら,この「戦略」は福祉施設や行政主体に各種の具体策が進められようが,これらの活動を進めるに当たっては,対象が高齢者であることから背後から支援するものの一つとして医療のかかわりが絶対に必要とされる.
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