特集 病院にとってのゴールドプラン
ゴールドプランのゆくえ
小室 豊允
1
Toyochika KOMURO
1
1姫路独協大学地域センター
pp.852-855
発行日 1991年10月1日
Published Date 1991/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903701
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福祉改革とゴールドプラン
社会の変容に対応した新しい社会福祉のパラダイムを構築するための福祉改革も,平成2年福祉8法の改正によってひと区切りがつけられた.今回の福祉8法改正は,昭和61年から始まった「福祉関係3審議会合同企画分科会」において審議された成果が,法律改正の基礎に据えられて実現をみたものである.それと同時に,この法改正が,平成元年12月に策定された「高齢者保健福祉推進10か年戦略(以下では,ゴールドプランとする)」を推進させる基盤整備をねらいとしていたのは周知の通りである.しかし,このような福祉改策の経過から,この福祉8法改正をもって「福祉改革は終わった」といえるであろうか.
福祉改革を振り返ってみると,福祉改革「Xデー」とされていた「福祉関係3審議会合同企画分科会」による意見具申「今後の社会福祉のあり方について」も,いざ発表されてみれば「泰山鳴動してネズミ一匹」の印象を与えるものであったことを忘れてはならない.消費税問題やリクルート事件などによる厳しい政治状況のなかで,予想されていた社会福祉の基本的枠組みの抜本的見直しは見送られたのであった.そのため,「今後の社会福祉のあり方について」でも,きわめて現実主義的な改革を選ばざるをえなかった.さらに,それまでややもすると悲観的に描かれていた福祉改革に明るい光を投げかけたのが,平成元年度12月に発表されたゴールドプランの策定であった.
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