主張
医療計画の評価と見直し
B
pp.555
発行日 1990年7月1日
Published Date 1990/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900678
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わが国の医療の現状について,厚生省は,「21世紀をめざした今後の医療供給体制の在り方」(1月19日)において,①世界最長寿国の達成,②国民の医療需要の多様化,③量的確保の達成,と分析している.このような現状分析からして,今後の医療の基本的考え方については,①成熟社会にふさわしい医療制度の構築,②より良いサービスの提供,③保健・医療・福祉の連係,④国等の責務,国民の理解と自覚,を強調する.なかんずく,病院医療についての具体的方向性は,すでに策定された各都道府県での二次医療圏ごとの保健医療計画の着実な実施・推進を図ることとしている.
しかし,筆者が通覧する限りでは,各都道府県の保健医療計画は,各々の地域特性を滲ませながら策定されたものとはなっておらず,ほとんどが厚生省のガイドラインの域を脱していないのではないかとさえ思われる.各都道府県の保健医療計画がこのような現状と思われるふしからも,「今後の医療供給体制の在り方」のなかで敢えて強調せざるを得なかった厚生省の立場も理解できる.果たして,各都道府県の反応は如何なものであったであろうか.
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