海外医療事情 アメリカ合衆国
DRGで考慮されない緊急入院 Prospective payments to hospitals:Should emergency admissions have higher rates?
濃沼 信夫
1
1東北大学病院管理学
pp.478
発行日 1990年6月1日
Published Date 1990/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900657
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アメリカで,医療費抑制策の切り札として導入された,メディケア入院患者に対する定額見込み払い方式(PPS)は今年で7年目に入り,様々の角度からその評価が行われつつある.入院した患者集団は474種類の診断群(DRG)のいずれかに分類され,同じDRGの患者にはほぼ同じ医療資源が消費される,というのがPPSのコンセプトである.したがってDRGは,年齢などの患者属性と,重症度,診療の難易度,サービスの程度など臨床上の特性とを最大限考慮した分類となっている.
しかし,これには患者の入院時の状態について格別の配慮はなされていない.同じ疾病でも緊急で入院した場合は,そうでない場合に比べてより多くのコストがかかっているに違いない.緊急入院の場合は,患者に関する情報量が少なく,医師のとり得る手段は限られている.患者の症状は重く,副傷病や合併症を有していることも多かろう.また,病院側が外来での事前検査など,入院医療費節減の経営手腕を発揮する余地もないからである.
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