特集 在宅ケアと病院
家族の立場から在宅ケアに望むこと
藤原 房子
1
Fusako FUHWARA
1
1日本経済新聞社婦人家庭部
pp.309-312
発行日 1990年4月1日
Published Date 1990/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900613
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在宅療養の増える背景
病人がどこで療養をするかという問題は,何よりもまず病人自身の安心感や快適さを念頭に置きながら,病気の治療や回復を優先して考えるべきだが,そうはいっても病人を取り巻く医療の供給側の事情や,家族・家庭の事情,国の経済をはじめ病院の財政,家計の都合など,せちがらい条件がさまざまに絡んでくるという現実がある.
「社会的入院」という言葉に象徴されるように,昨今は家庭の事情で入院を余儀なくされるケースが増えている.高齢者を世話する家族にとっては,老いた親が老人ホームで暮らしていると言うよりは病院にいると言ったほうが,親戚や近所の手前かっこうがいい,といった事情なども働いて,入院期間が長期化する傾向が注目されるようになった.これは昔から無いわけではなかったが,家庭の恥とひたかくしにしていた.近年はそれが隠しようもなく,さまざまな事情で顕在化している.
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