院内管理のレベル・アップ 病理
病院病理の課題・5
病院病理に何を望むか—外科の立場より
的場 直矢
1
1仙台市立病院
pp.60-61
発行日 1977年11月1日
Published Date 1977/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206380
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現在,筆者の勤務している仙台市立病院は,病床数310床で,全国のいわゆる公的な総合病院としては,中級の平均的な病院である.多少特徴的なこととしては,市内の中核的な救急病院として活動しているので,急性の重症患者を取り扱う機会の多いことであろう.われわれの調べたところでは,年間の死亡患者は157名で,これは仙台市内では,東北大学病院,国立仙台病院についで第3位である.しかし,これを病床1床あたりの死亡数になおしてみると,年間1床あたり0.5名が死亡しており,市内では他を引き離してトップである.内科における剖検率は約60%である.また筆者の担当する一般外科では,年間約600例の手術を行っており,その内容は腹部外科を主体とし,他に比して甲状腺疾患が比較的多いと思う.しかし当院では,病院病理部門がなく,病院病理医(以下病理医という)が勤務していないので,これらの剖検および外科(生検)材料の組織学的診断は,すべて東北大学病理学教室にお願いしている.現在,大病院,特殊専門病院では,病院病理部門が置かれているが,当院のような中小病院では,病院病理部をどのような形で設置し,これを運営して行くべきかという問題こそ,切実なものである.とくに外科では,病理組織学的な検査が,正しい診療を行ってゆくための一つの指標として,不可欠な要素であることは論をまたない.
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