特別寄稿
MRI(磁気共鳴装置)導入・利用の日米比較―日本でのハイテク医療技術と医療費抑制との「共存」の秘密を探る(2)
二木 立
1
1日本福祉大学
pp.1101-1105
発行日 1993年12月1日
Published Date 1993/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900528
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結果(つづき)
MRI 1台当たり検査件数とスタッフ数等の日米比較
MRIの利用,スタッフに関しても日米格差は大きい.表7に示したように,MRI 1台1週当たり平均検査数は日本の35.7件に対して,アメリカは68件と倍近い.この理由は,主としてMRI 1台当たりの稼働時間の違いである.日本では一部の施設を除いて,MRIは職員の通常勤務時間のみ稼働しているのに対して,アメリカでは大半のMRIが職員の2交代制で稼働している.3交代制で24時間稼働している施設すら存在する.
MRI 1台当たり平均専任スタッフ数の日米格差も大きい.日本の1.8人に対して,アメリカは6.0人,日本の3.3倍である.上述したアメリカのMRIの稼働時間の長さを考慮しても,差は大きい.これは量的格差だが,質的格差も大きい.アメリカでは,各MRIに専属の放射線科医が配置されているのが常識だが,日本でそのような体制をとっている施設はごく一部の大学病院・大病院に限られる.また,アメリカでは大学以外の大・中規模病院の放射線科・MRI部門にも,理学博士資格を持つ画像技術専門家が配置されているのが普通であるが,わが国では大学病院ですら,そのような専門家は配置されていない.
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