特集 社会からみた医療の質の評価
医療関連サービスからみた医療の質の評価
矢野 聡
1
1東京海上メディカルサービス株式会社
pp.414-419
発行日 1993年5月1日
Published Date 1993/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900360
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医療サービスに関する評価は,大きく分けると2つの点に集約される.1つはサービスの有効性および技術的な練度の高さによる評価である.そしてもう一つは,経済学的評価,つまり効率性の評価と,価格ないし投入されたサービス量に対する受益者の満足度に関する評価である.これらは,いずれも医療サービスの質を規定する上で必要なものであるが,ときには両者が分かちがたく結び付いている場合もある.しかしながら,従来の医療サービスでは,両者を一応区分しながらその特徴を抽出する作業があまり行われてこなかった.つまり,医療法人はその全責任を負わされている医師が,自分の医療機関のサービス内容とその評価を,技術的な側面と経営および顧客満足度に関する側面とに分けて考える作業を,あまり行ってこなかった,ということである.
ところで,特にわが国の場合,医療サービスの分野では評価を可能にするためのマニュアルと項目別の情報量の不足から,いわゆるテクノロジー・アセスメントとよばれる評価のための領域も,いまだに不十分のままである.周知のように,サービスの有効性および医療技術水準の評価は,例えばアメリカで行われているようなピア・レビュー(Peer Review)ないしセカンド・オピニオン(Second Opinion)として,基本的には医師間の相互評価法の確立を待つことになる.
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