特別寄稿
インフォームド・コンセントの実践とその必要性
山中 直樹
1
1名古屋記念病院
pp.240-245
発行日 1993年3月1日
Published Date 1993/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900318
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医療は,患者の思っているほど全人的人間とは言えない医者によって行われている.今日,医療は科学的ベースと人間性の保障を基本に行われなければならなくなった.しかも今や,医療を地球環境資源的な立場からも深く考えなければならず,人の命を少しでも延命すればよいという考え方は肯定されない場合も出てくることがある.言ってみれば,医療関係者も一般の人々も,常にどのように生き,どのように死ぬか考えていなければならなくなった.
そうした観点から,名古屋記念病院では,インフォームド・コンセント(I.C)の日常的な医療現場での履行,実践が今後の建設的な医療の発展に必要条件と考えて,1987年から取り組んで来た1).現在,入院に際して医療を受けるに当たっての患者自身および家族の考えを書式でまず聞いている(図1,図2).その上で,患者や家族に対して,医療のいろいろな局面で,説明・同意を得るようにしている.その説明・同意についても書式をもって行い,ダブルコピー様式にして記入してもらっている(図3).医者,患者自身の双方がサインの上,一方を患者に渡している.また,家族等の関連者についても同様の形をとっている.
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