特集 インフォームド・コンセント
病院におけるインフォームド・コンセントへの取り組み
山中 直樹
1
Naoki YAMANAKA
1
1名古屋記念病院
pp.601-602
発行日 1988年7月1日
Published Date 1988/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209329
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はじめに
医療では,ヒポクラテス以来,"心"の問題が言われている.この美しい言葉にはいろいろな意味がある.時として,医療者,患者側それぞれに都合よく利用されている.特に現在の日本のように甘えの構造の下に,以心伝心で善意の配慮がなされている,と信じていながら信じていない土壌においては,殊更である.すなわち,両側で個々の責任を明確にすることからの逃げに使われている.そのことが,ついには死の条件まで皆同じでなければならないと考えたり,他人に決めてもらおうというところまでいっている.また,安易で非科学的な実験治療をも可能にしている.
今日の科学技術の急速な進展は生命科学に大きな影響を与えている.従って,それを正しく発展させ,医療に導入するためには,まず,人それぞれが如何に生きるかという視点より,個人の責任を明確にすることが必要である.そのことが命を介しての人間らしさと社会の健全なる発展に通ずると考えなければならない.
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