研究と報告
職員の力では変えられない経営条件の病院経営に及ぼす影響—自治体病院の場合
阿部 廣介
1
Hirosuke ABE
1
1青森市民病院
pp.628-631
発行日 1992年7月1日
Published Date 1992/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900138
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緒言
自治体病院は地方公営企業法の適用を受ける.地方公営企業は利潤追求が目的ではないが,地方公共団体が経営しているため倒産の危険がないこと,医療の公共性,医療水準の確保が強調されることなどにより,ともすれば経営の合理化・能率化の努力を怠りがちである.合理的・能率的運営により,最小の費用で最大の効果をあげることこそ公共性の確保につながるといわれている.自治体病院の経営悪化の原因として,病院経営を取り巻く外部事情に起因する問題点と内部事情に起因する問題点1)があげられている.
経営悪化の原因が指摘されると,当該病院の職員は,自らの力では変えることのできない不利な経営条件が病院経営を支配していると考え,また他病院の良好な経営成績が示されると有利な条件によると決めつけやすい.そこで,職員の力では変えることのできない経営条件(以下,外部条件)を検討する必要があると考えた.また,経営を改善するには経営の現状の良否を知りたい.そのための指標として,医業収支比率に準じた医収支率を算出し,外部条件の及ぼす影響を検討した.その結果,病院経営上興味ある所見を得,これが自治体病院の経営診断に役立つと考えられたので,ここに報告する.
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