現代病院長論
新任病院長1年間のチャレンジから—2日本の病院の“後進性”いろいろ
古川 俊之
1
Toshiyuki FURUKAWA
1
1国立大阪病院
pp.632-637
発行日 1992年7月1日
Published Date 1992/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900139
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“時は金なり”を率先垂範
さて,私が院長になって大変困っているのは時間がないことです.朝のうちに考えごとをまとめようとしていると,大変なことが起こりまして・・てなことを突然言ってきます.困り果てて暫定的に9月1日から「午前中の3時間は人に会わない」と決めました.私は教授職から離れてから,何も勉強できず頭脳が急速に退化するのではと,非常に危機感を持っております.ですから午前中を勉強に当てることにしたのです.しかし悪い知らせといやな事件は,私が勉強中でも思索中でも,構わず即座に報告することにしております.
スタッフの性格・能力を見ていますと,とにかく時間の使い方のまずい人がいます.その特徴は,人が訪ねてきた,会議が長引いた,電話が急に入った,と言い訳の多いことです.勇気を持ってノーと言えないタイプが多いのです.管理職の時間利用法は大切な条件です.友人の東京大学名誉教授で現在は慶應大学教授の石井威望さんは,超多忙人の代表でしょうが,のっぴきならない急な用件が起こったら一番忙しい人に頼め,と言います.忙しい人ほど時間の管理が上手ですから,どんな無理をしても直ぐにやるというのですね.確かに忙しい人は反応が早いですね.なぜか暇な人はのんべんだらりとしていて,何か頼みごとを電話すると,まず一度はお会いして趣旨を伺って1週間ほど考えさせて頂いて・・などと呑気なことを言います.
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