特集 こんな勤務医はいらない
わが国における医師の就業形態の推移と勤務医の将来
星野 桂子
1
Keiko HOSHINO
1
1国立医療・病院管理研究所医療政策研究部
pp.418-424
発行日 1992年5月1日
Published Date 1992/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900093
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はじめに
わが国で免許を取得した医師が,どのような施設でどのような仕事をし,職業生活を全うするかについての資料はほとんど無い.最近は勤務医志向が強くなっているとか,患者だけでなく医師にも病院志向,それも大きな病院を好む傾向があるなど,それとなく囁かれたりする.しかし,若い医師が実際どのようなところで何をしたいのか,実現可能性についてどう考えているのかは必ずしも明らかではない.
医療は医師が興味を持っていることや挑戦してみたいことを実現するためだけの場というわけではなく,社会的経済的文化的環境のなかで形づくられる活動の場である.患者との関係,さらには患者を取り巻く家族や社会との関係で,医師や医療従事者の役割が決まってくる.戦後の混乱状態から今日まで,経済的社会的環境はある面で大きく変わってきたように思われる.疾病と急性・慢性の感染症が減少し,高齢者が増え,医療施設を利用する高齢者も増えた.かつては家族の役割であった加齢に伴う各種の障害や異常・変調を手当し,日常生活上の介護をすることも広い意味での医療に対する期待になってきている.
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