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■はじめに
公益財団法人日本医療機能評価機構(以下,評価機構)では,2015年に「医療機能評価を通じて,患者が安心して医療を享受でき,職員が働きやすく,地域に信頼される病院づくりに貢献する」という「次世代医療機能評価のアジェンダ」を策定し,「社会情勢に即した病院機能評価の改善」「医療の質と安全に関わる人材の教育研修」「病院組織への支援」を三本の柱と定めた.これらが並行して進められることにより,認定を核とした新たな価値を創造することを目指すものである.2018年より開始された「患者満足度・職員やりがい度調査活用支援」(以下,本プログラム)は病院組織への支援の1つであり,評価機構等で医療の質と安全にかかわる教育研修を受けたのちに所属病院での活動を支援することを想定している1).
本プログラムでは,医療の質の重要な構成要素である患者満足度(以下,CS),および病院の内部顧客である職員のやりがい度(満足度:以下,ES)を測定し,その結果を医療の質向上につなげる取り組みを支援している.より質の高い医療を提供するには,医療を提供する側の職員がやりがいを持って働ける環境が必要である.職員のやりがい度が高まればモチベーションも上がり,生産性が高まり医療の質の向上につながる.よい医療が提供されれば患者の満足度も高まり,現場スタッフへの感謝や継続受診,新たな患者の獲得につながり,さらに職員のやりがい度を高めるだけでなく,増えた収入や利益をサービスの質を高めるために還元することが可能となる.評価機構では,CSとES双方から,調査・分析・改善を進めることが病院組織の質改善活動において重要であると考え,一つのプログラムで両方の調査が可能としている.
本プログラムでは,調査の手法を標準化し,併せて病院同士の比較が可能となるようレファレンスとなるベンチマークを提供している.多くの病院がプログラムに参加することで,レファレンスデータベースの価値を高めることができる.評価機構はプラットフォームを提供することで病院と共同で医療サービス改善に必要なインフラの構築を行っている.参加病院数は年々増加し,2023年7月時点で参加病院数は365病院である(図1)2).
また,評価機構は病院機能評価の中で「患者・家族の意見を活用し,医療サービスの質向上に向けた活動に取り組んでいる」「職員にとって魅力ある職場となるよう努めている」ことを求めており,これらの評価項目に対応する取り組みとしても活用されている.
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