連載 医療現場の「働き方改革」医療の質を担保しつつ労働負荷を低減させる方法・11
働き方改革を阻害するハラスメント
福島 通子
1
,
富澤 昌平
1
1塩原公認会計士事務所
pp.854-859
発行日 2020年11月1日
Published Date 2020/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541211301
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都道府県労働局などに設置した総合労働相談コーナーに寄せられる「いじめ・嫌がらせ」に関する相談は年々増加している.経済環境,社会環境,労働市場環境の急激な変化や,労働者の仕事に対する意識や価値観の変化と相まって増加しているようだ.
医療の現場では,医師,看護師,薬剤師など,さまざまな職種や職位が存在する.また,外部の第三者,患者やその家族など院内組織以外との関わりも多く,さまざまなハラスメントが生じやすい.その反面,生命を左右するような急変時や緊急時に社会性を欠く言動や行動があったとしても,安全管理上の問題と受け止められ,ハラスメントとして取り上げられにくいといった実情もある.ハラスメントとして露呈しにくい環境であることから,加害者も自覚がないことが多い.特にパワーハラスメント(以下,パワハラ)と指導との境が難しく,相手の成長のためを思って行う指導も,度を超すとパワハラと受け取られかねない.「自分はこうしてきた.あなたもそうすべき」と,自分の看護観を押し付けてしまうケースもよく見られる.加害者本人に悪気がなくとも,相手に対し業務の適正な範囲を超え精神的・身体的な苦痛を与えれば,それはハラスメントになる.
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