連載 多文化社会NIPPONの医療・16
外国人医療における「応召義務」問題
堀 成美
1
1国立国際医療研究センター国際診療部
pp.72-73
発行日 2019年1月1日
Published Date 2019/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541210883
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ニュースなどでお気づきの読者も多いと思うが,2018年春以降,自民党のプロジェクトチーム,内閣府,厚生労働省によって,外国人患者の医療機関の受け入れ体制整備や健康保険制度を含めた制度の整備が進行中である.少子高齢化,労働力不足を背景に,これまで以上に多くの外国人を日本に呼び込むための滞在資格の新設や,より長期の滞在を可能にするための施策が検討されている.このような大きな変革の時代に,医療はどう変わっていくのだろうか.
実は,国レベルでの検討の動きは,短期滞在の訪日客への対応が先行している.オリンピック/パラリンピックが目の前であり,各方面の合意や協力も得やすいので妥当な路線である.しかし,基盤となる地域医療としての整備がなければ,それらは脆弱なものになってしまう.医療通訳ひとつとっても,訪日客には有料で在住者は無料といった区別が可能なのか,診療報酬上の加算などは可能なのか.現場の負担を軽減する仕組みとセットでなければ,医療安全も脅かされるだろう.このような中で,「応召義務」についての問い合わせが増えている.
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