連載 「働き方改革」時代の労務管理・8
いよいよ始まる働き方改革元年(前編)—「働き方改革」法案の概要と長時間労働の是正
越本 幸彦
1
,
吉田 剛
1
1弁護士法人御堂筋法律事務所
pp.66-70
発行日 2019年1月1日
Published Date 2019/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541210882
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■そもそも「働き方改革」とは何か
2017年11月,第4次安倍内閣発足時の総理大臣所信表明演説において語られた「1億総活躍社会」は,少子高齢化という日本の構造的な問題に正面から取り組むことで歯止めをかけ,50年後も人口1億人を維持することなどを目的としている.その実現に向けた最大のチャレンジと位置づけられるのが「働き方改革」であり,多様な働き方を可能とし,中間層の厚みを増やして消費を押し上げ,労働生産性の改善による成長と分配の好循環を実現することで,日本経済の再生や少子高齢化問題への対策につなげる政策とされる.
「働き方改革」において対応すべき課題として取り上げられた現在の日本の労働制度と働き方の特徴には,①長時間労働,②正規と非正規の不合理な処遇の差,③単線型のキャリアパスがある.これらを克服するために,労働基準法や労働安全衛生法をはじめとする8つの法律を改正する法案が,2018年6月29日の参議院本会議で可決され,成立したのが,いわゆる「働き方改革関連法」である.
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