特集 「生きる」をデザインする病院—医療の再構築に挑戦する
巻頭言
神野 正博
1
1社会医療法人財団董仙会恵寿総合病院
pp.671
発行日 2017年9月1日
Published Date 2017/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541210542
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日本の社会構造は急速に変わりつつある.それは,少子高齢化,人口減少というこれまで世界で誰も経験したことのない社会である.それに伴って,社会保障ばかりではなく,産業や経済,財政,社会インフラ,雇用などで多くの変革が必要だ.加えて,本特集の高橋論文でも触れられているように,人々の価値観の変化への対応も不可欠となる.
これまで,われわれ病院は,患者がドアをノックした時から病の治療に関わり,癒えるとともに手を離した.介護保険施設もまた,要介護者からのコンタクトがあった時から関わるのみであった.しかし,高齢者が増えるに従って,入院医療や入所介護の需給バランスは崩れていく.かつ,慢性的な疾患や要介護状態は癒えることはない.人は病や要介護状態と共存したまま,生活の場で「生きる」必要があるのだ.
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