特集 勤務医と労働基準法―医療の現実と法
巻頭言
神野 正博
pp.797
発行日 2005年10月1日
Published Date 2005/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102041
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国民が貧困であった戦前,戦後の時代では,国民は労働に励み,医師もまた献身的に働いた.特に医師はその倫理観から地域に出向き,昼夜を問わない献身的労働を行い,その見返りとして多くの尊敬を受けてきたのである.1961 年からの国民皆保険制度は日本経済の高度成長に呼応し,経済力を背景に国民は安価に標準的な医療を受け,同時に医師も保険給付によって安定した所得を得るように導いた.
しかし,時代は縮小経済成長のもと医療費抑制策が主となり,また医師の半数以上が勤務医となった.医師の所得の頭打ちとともに,大勢を占める勤務医の意識も変わってきているように思われる.さらに,社会から病院医師を見る目も変化しているように思われるのである.
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