特集 IPWの時代─チーム医療のための多職種間教育
巻頭言
神野 正博
1
1社会医療法人財団菫仙会恵寿総合病院
pp.407
発行日 2016年6月1日
Published Date 2016/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541210110
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病院を取り巻く環境は,急速な超高齢社会へのシフトを見据えて,いわゆる「治す医療」ばかりではなく,地域を包括的に見据えた「支える医療」「癒す医療」が求められてきている.そこでは医療の垂直連携ばかりではなく,病院から地域へ,あるいは施設間,制度間を跨ぐチーム医療の担い手が否応なく必要とされることとなる.その担い手に目を向けると,病院には数多くの職種が集う.その多くは,独自の専門教育体系によって輩出された国家資格保持者である.また,病院事務職もともすれば,より専門分化された専門職形成の方向にあるように思われる.
出来上がった専門職集団が,自らのアイデンティティーを中心に据えて多職種連携・協働を実行するチーム医療から,もう一歩以前の専門職育成の教育課程,すなわち専門職が出来上がる前から,他職種と協働するための職種間教育の必要性が出てきたといってよい.さらに,専門職の生涯教育の中で多職種連携・協働を中心に据えた教育システムの確立と意識改革が必要とされることになるに違いない.
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