特集 社会的責任(CSR)が問われる病院
巻頭言
神野 正博
pp.453
発行日 2005年6月1日
Published Date 2005/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102037
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社会からの要望,また医療機関側の改善に向けた取り組みとして「医療の質」が,ますます声高に叫ばれている.しかし,ここで「医療の質」の本質を確認しておく必要がある.すなわち,「医療の質」には治療行為に伴う「診療の質」ばかりではなく,組織体としての「経営・運営の質」の追求も包含しているものと考えられる.それによって,各々の医療機関で行われる医療が社会から必要とされているサービスであるかどうか判断されていくに違いない.
昨今「企業の社会的責任(CSR : Corporate Social Responsibility)」は,企業にとってその存続をも左右する重要な視点となっている.今年,話題となった「企業価値」という言葉もまた,企業が社会に対して行うべきCSR をまっとうしてこそ生きてくるものであると思われ,CSR をないがしろにしたマネーゲームだけでは真の企業価値を産み得ないものと考える.企業に課せられているCSR では最も原則的なものとして「規範の遵守」,「製品(病院ではアウトカム)・サービスの提供」,「収益の確保と納税」,「株主利益の保護」であるといわれる.さらに,「積極的な情報開示」,「環境への配慮」,「誠実な顧客対応」,「社員のキャリアアップ支援」,「社会活動への関与」などへと拡大されているのである.
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