- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
■はじめに
本連載第2回から第11回まで,筆者らの教室で取り組んでいるDPCデータの分析とその活用方法に関する基礎的事項について解説した.公開データを活用することで自院の外部環境が,そして自院データをMS-AccessⓇなどのデータベースソフトとQlik senceⓇなどのビジネスインテリジェンスツールを組み合わせて分析および可視化することで内部環境が分析できる.そして,それを病院が持っている他の情報と組み合わせ,SWOT分析のような経営管理手法により分析することで,自院の経営課題が外部環境と相対化され明らかとなる.
情報は活用されてこそ意味がある.DPCという仕組みが制度化され,すでに10年以上経った.DPC関連情報を何らかの形で経営に活用していないDPC対象病院はほとんどないだろう.しかしながら,その活用のレベルにはまだ施設間で大きな差がある.自施設で分析を担当できる人材育成に力を入れている施設から,分析のほとんどを外部のコンサルテーション会社に任せている施設までさまざまである.筆者はコンサルタントの意義を否定しない.ただし,それが本当に有効であるためには,コンサルタントが指摘する課題あるいは提案する改革案を批判的に検証できる内部の担当者がいることが不可欠である.そのためには本連載で紹介したような分析を行える人材が,各施設で育っている必要がある.また,このような人材がいることはDPC制度が健全に運営されるための前提条件である.そうした人材を中核としてInformation governanceがしっかりと行われる体制づくりが求められるのである1).
本連載の最後に,これまでの内容を踏まえた上で,さらなるデータ活用のために筆者が現時点で考えている視点について説明したい.
Copyright © 2017, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.